民亊信託とは
民亊信託とは、自分(委託者)の大切な財産を信頼できる家族や専門家等(受託者)に預けて、特定の人(受益者)のために、有効に管理・運用・処分してもらう方法のことをいいます。具体的には、不動産や預貯金の財産を自分の老後に信頼できる家族等に託し、その財産管理や資金の出し入れを任せるということです。
将来、認知症などで判断能力がなくなってしまった時の相続、資産運用対策、財産管理等個人的な目的から、事業の承継や保全などの法人的な目的まで様々な場面で利用されます。
民亊信託の契約は長期に渡ります。その内容によっては数十年に及ぶこともあります。
家族信託では、委託者(父)は、その所有する財産を金融機関ではなく、信頼できる家族に信託し(名義を預け)、受益者(委託者をそのまま受益者に設定します)のために財産管理をしてもらいます。財産の名義を預けているだけですので、贈与税や不動産取得税等の税金は発生しません。
※不動産登記手続きに伴う登録免許税はかかかります。
民亊信託のメリット
① 親の認知症対策および財産管理ができる
民事信託を活用できる場面としてもっとも典型的なのは、高齢の親が認知症になってしまい、自分で自己の財産を管理や処分することができなくなる備えとして、その子が親のために財産を管理するというものです。
②民事信託で不動産を信託する場合、不動産取得税がかからないメリットがあります。
通常、不動産の所有権を移転すると、不動産取得税がかかります。しかし、信託は所有権の移転が形式的なものとみなされ、不動産取得税の負担がありません。 民事信託を活用すれば、不動産の所有権や管理を受託者に移す場合に不動産取得税がかからないので、節税につながります。
③3世代にわたって財産の承継先を決められる
遺言書の場合、指定できるのは自分が死んだ際の相続についてのみで、その先について指定することはできません。しかし、民事信託を行えば3世代先の承継先まで指定することが可能です。先ほどの例でいうと、受託者である次男が死亡したあとに信託財産を誰に承継させるのかまで指定することができます
④裁判所の関与は不要
当事者間の契約により、公序良俗や強行法規に違反しない限り、原則自由に設定できます。
裁判所が信託契約に関与することがないため、許可を得るなどの手続きや余計なコストがかからない。
民亊信託のデメリット
①受託者に身上監護の権限がない
民亊信託は財産管理の制度であるため、介護施設入所に必要な契約や病院の入所手続き等の身上監護を代わりにすることができない。そのため民亊信託と同時に身上監護のため任意後見契約を結ぶと安心です。
②家族信託では誰に税金が課税されるのかがわかりにくい
委託者以外を受益者として家族信託を設定した場合には、受益者に贈与税が課税されます。また、委託者の死亡を条件として委託者から受益者に権利が移ったら、みなし相続として、相続税の課税対象です。、税金面でのデメリットがないかどうかを十分検討しましょう。
Q 家族信託の導入にはいくら費用がかかる?
家族信託の設計・信託契約書の文書作成に関するコンサルティング報酬と公証役場の手数料があります。当事務所と公証役場の手数料も信託財産の評価額を元に算定しますので、その規模に応じて数万円~数十万円とかかります。
信託財産に不動産を入れる場合、信託契約後に信託登記手続(受託者の名前を登記簿に掲載する手続き)を行う必要があります。その際の登録免許税と司法書士に対する登記手続報酬があります。
不動産の評価額については固定資産税評価額が公証役場の手数料や信託登記における登録免許税の算定基準となります。当事務所も固定資産税評価額を基準としてます。